2013年04月21日

~ その弐、ターニングポイント。

「なんか。おかしくない。この放送って」

亜紀が、私の思考を遮り、ゆっくりと告げた。
言いたい事を誤魔化し言葉少なく。

彼女が、口にしたくない思い。
それは、この放送が、この世のものではないのではという疑問。
私も同じ疑問を持ったから、よく分かった。

作り物(フェイク)ではない。

そんな迫力を持っていたのだ。今、流れている放送は。

「ライブぽいし」

亜紀が呟く。
私と同じ恐怖を感じているようだ。

「ねぇ。亜紀。テレビ……、消さない?」

私が、亜紀に同意を求めた。
このまま見続けると、何かが起こると察知したから。
その何かは、とても耐えられない危険な事なのだと感じたのだ。

「そうね」

亜紀が同意した。
後に続く言葉を綴る事もままならず。
彼女が綴れなかったのは、なんか怖いしねという思い。
私は、そう思った。

なにせ私もまったく同じ思いだったからだ。

とにかく、亜紀がテレビのリモコンを手にとった。
放送(きょうふ)を断ち切り終わらせる為に。

「この話は、とても悲しい女の子のお話。受験を控えた哀しい女の子の」

亜紀の手が思わず止まる。
電源のスイッチに手がふれた瞬間、ナレーションが流れたのだ。
それも、衝撃的な内容を私たちに伝えつつ。
だから彼女は、消す事を躊躇した。

今、この時が、私たちのターニングポイント。
運命の別れ道だった。

もし、ナレーションなど気にせず、テレビを消していたら……。

「行く先が分からなかった女の子のお話」

陰鬱な声が続ける。
私の背筋が、ゾゾゾっと凍てつくのが分かる。
決して、真冬の寒さによって身体がではなく、心の芯が冷えたのだ。
亜紀もまた。

「気持ち悪いよ。この放送、なんか怖い」

彼女は、遂に耐え切れなくなったのか、思いを吐露した。
意を決し、必死で、私に助けを求めるかのように。

でも、私だって怖い。亜紀に助けて欲しいんだ。
この恐怖から今すぐ逃げ出したい。
と、切に思った。

だから亜紀に何も答えず黙った。
気持ちに応えれなかった。

~ その弐、ターニングポイント、了。

posted by 四草めぐる at 22:50| Comment(0) | ホラー小説 | 更新情報をチェックする
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